モダンボードゲームの挑戦
Board Game Design Advent Calendar 2019 - Adventar
2019/12/01 担当記事
■はじめに
極めて個人的な趣として敬愛するモダンボードゲームとその作り方についてかなり長い間思考錯誤していた。
幸運にもここ最近になり漠然と思い描いていた手法の断片が見えてきた。
なので今回はそのモダンボードゲームと具体的な作り方の断片について話がしたい。
とは言え当然ではあるがこれが唯一とも正しいとも言えないし、そう思える部分があったとしても改善の余地がある。
しかし、今のボードゲームデザインに感じているのはまだ哲学の時代であると言うことだ。
時折、ボードゲームデザイナーが共通の認識と言語で分かち合う姿が理想と聞くが、私はまだまだ遠い未来だと感じる。
何故なら正しさを証明するには実証が必要で現実はまだその域にはないからだ。
アリストテレスが実証研究を創始したのが紀元前300年代、それから科学革命が起きるまで実に1700年代にまでかかっている。
ともすれば、まだまだ哲学の時代は長いように思う。
なので、デザイナー一人一人が自分の理論を磨き上げ、対話する事で理論を切磋琢磨出来るのではないかと感じる。
ただ、これがくだらないと感じたから、アリストテレスは実証を求めたのではないかとも思う。
(加筆2019/12/21 哲学史を分かりやすく説明してくれてる動画あったので補足します。
https://m.youtube.com/watch?v=KcuCD6vpnt0
■モダンボードゲーム
まず、ここで言うモダンボードゲームとは何かを決めたい。
個人的な感覚からすれば以下だ。
・アメトラとユーロの合いの子
・テーマとシステムの両方を尊重する
・具体的にはBGGギークランク上位100位以内のゲーム
これらを端的な成分に分解するため、「アメトラ(≒テーマ) + ユーロ(≒システム)」と言う図式に表したい。
そして、大きな成分系統の分類として「アメトラよりのモダン」と「ユーロよりのモダン」に分けたい。
アメトラ≒テーマ
ユーロ≒システム
※実際にはアメトラ由来システムもユーロ由来テーマもあり、あくまで思考整理の単純化に過ぎない。
アメトラよりのモダンと言えば以下。
・スルージエイジズ
・テラフォーミングマーズ
・トワイライトストラグル
特徴としてテーマの造形が色濃く、テキストやデータが膨大にある。
ユーロよりのモダンと言えば以下。
・ガイアプロジェクト
・グレートウェスタントレイル
・マルコポーロの旅路
アメトラよりとは対照的にテキストを圧縮して視認性を高めてシステムを強調している。
回りくどい言い方だが、要するに私が作りたいのはここで言うユーロよりのモダンである。
■カイヨワ
以下にカイヨワの遊びの役割を列挙する。
※カイヨワについてはとても面白いので個人的に調べてみて欲しい。
・アゴン(競技) - スポーツ・チェス
・アレア(運) - ギャンブル・じゃんけん
・ミミクリ(模擬) - ごっこ・空想
・イリンクス(眩暈) - 酔い・スリル
やはり、「テーマ」の遊びは「ミミクリ」の役割が大きいと考えてよいだろう。
では「システム」が何かとなると、こいつは「イリンクス」だと感じる。
しばしば、システムとは「テキスト化されたルールに留まるもの」と誤解されてしまうことがあるが、実際にはもっと大きな範囲を囲む。
ボードや駒等のコンポーネント、その動かし方、そして、プレイヤーやフレーバーまでも囲み込むこともある。
それらのシステムの囲いが何を生み出そうとしているのかと言えば当然「楽しさ」であるが、何が楽しさを生み出しているのかと言うと感覚の酔いでありイリンクスなのである。
アメトラ≒テーマ≒ミミクリ
ユーロ≒システム≒イリンクス
モダンボードゲームのイリンクスとミミクリの関係を図にすると以下のゆで卵になる。
イリンクスの黄身をミミクリの白身がコーティングする。
黄身と白身の大きさによってアメトラよりかユーロよりかの配分を決めている。
つまり、ユーロよりが作りたい私はイリンクスの黄身を大きくする努力が必要と言うことだ。
ちなみに、「ユーロよりに偏重するのであればもはやミミクリは必要ない。」と感じられるかもしれない。
しかし、それは違っていて、何故なら「芸術点」が大きく減点してしまうからだ。
モダンボードゲームの評価の半分ぐらいは芸術点が付けられている。
■ユーロよりのモダンの作り方
モダンボードゲームの作り方には大きく2つある。
いわゆるシステム先行かテーマ先行かだ。
ゆで卵的に言えば、「黄身に白身を塗る。」か「白身に黄身を塗る。」かである。
ユーロよりを作る場合、イリンクスの拡大が目標なので前者のシステム先行の方が格段に優れると感じる。
ここではプロトタイプモデルを採用する。
プロトタイプモデルとはスパイラルモデルの応用で、試作とレビューを反復して完成に近づけるやり方である。
各フェーズは自由に行き来することができ、多くの修正や場合によっては廃棄してやり直すことを推奨する。
或いはその覚悟が必要である。
以下、全体のフローチャートだ。
よくある「デザイン」と「デベロップ」の分割に近いが、デザインとは感覚が異なるため探索フェーズとしたい。
開発フェーズはデベロップでもよいし、ブラッシュアップと呼んでもよいだろう。
ただ、私にとって開発フェーズは恐ろしい工程で別名「地獄の釜の蓋を開ける」と呼んでいる。
本当に何をしたら良くなるのかわからないので、闇雲に「作り、試し、やり直す」を延々と繰り返すが、それでもまったく完成する気がしない。
なので、今回は探索フェーズに的を絞った話にしたい。
しかし、それさえも「作り、試し、やり直す」を延々と繰り返すことは変わらない。
以下が探索フェーズのフローチャートだ。
■イリンクスの探索
まず、イリンクスのサンプルを用意する。
これは楽しさを生み出すであろうと思えるもの、何でも試した方がよいだろう。
イリンクスのサンプルに対してそれを試遊するためにドライバーと呼ばれる簡易的なルールを作成する。
ドライバーは完璧に拘る必要はない。
何故なら、サンプルの質(楽しさ)を確かめるだけなので、ここでは完成品まで気にしなくてよい。
ドライバーを作る上でテーマが必要なら私は汎用性の高い中世かファンタジーをよく用いる。
サンプルとドライバーを使って小さなテストプレイキットを作成してテスターとテストプレイをしてレビューを行う。
テストプレイの技術は私にとって未知に近い。
恐らく、テストプレイには質が存在するがほとんどは拘れるほどの融通はないように思う。
個人的にではあるが、プレイ中のテスターの仕草を観察していることが多いように思う。
こうやって、よいサンプルが見つかるまで探索を反復させ続ける。
イリンクス中心のゲームはイリンクスの質で多くが決まってしまうため慎重に粘り強く探索したほうがよい。
複数のイリンクスを発見出来ていればかなり心強く、1つのゲームに集約することでイリンクスのサラダを作ることができる。
■ミミクリの探索
用意できたイリンクスに対してテーマを作り出すミミクリの探索を行う。
既に楽しさはイリンクスによって担保されているのでミミクリでの楽しさに拘る必要は薄い。
いかにイリンクスを際立たせフレーバーをマッチングされるかが重要に思う。
工程の考え方としてはサンプルがミミクリになるだけでイリンクスの探索とほぼ変わらないものでよいと思われる。
ただ、私の場合イリンクスの探索ほど手先を使う機会は多くない。インターネットや映画などの情報からサンプルを見つけては片っ端から頭の中で当てはめていく。
■おわりに
こう書き上げてみると、前提知識を必要とした不親切な内容になってしまったかもしれない。
簡潔に言えば、ボードゲームそのもののデザインに限界を感じたとき、視点を変えて「作り方」に着目するとよい気がする。
また、この記事が物足りないあるいはなにか重要なことが言及されてないと感じられたなら、それはたぶんあっている。
具体的なイリンクスが何なのか、そこが大切に思う。
肩の力を抜く。アートの為のボードゲームデザイン。
Board Game Design Advent Calendar 2018 - Adventar
2018/12/04 担当記事
■はじめに
そのボードゲームが何者なのか熟慮するとき、私は「プロダクト」「デベロップ」「アート」の観点で多角的な見方を1度は試みます。
これをより多くのゲームをフェアに評価する方法として好んでいます。
この方法はうまく機能しますが、しかし、欠点もあります。
多くの場合に「Aは良いがBは悪い。」「Bは悪いがCは良い。」のようなバランスされた結論になる為、絶対的な評価を好む場合には不向きと言えます。
今回はこの多角的評価のアプローチと表題のアート要素について語ろうと思います。
■プロダクト
ここで言うプロダクトとは製品パッケージとしての完成度や魅力のことで、いかに人を引き付ける何か、いかに売れる何かがあるかを意味します。
私は単に「売れる努力」と言い換えます。
例えば、
・アートワークが美しいか
・コンポーネントが豪華か
・システムが流行を抑えているか
などが当てはまります。
多くの人に「これは売れそうだ。」と思わせる何かの多くはその素質を持っていると思っています。
■デベロップ
ボードゲームの業界においてデベロップは少し特別な言葉で、多くの場合にシステム面での洗練を意味します。
私は単に「優れる努力」と言い換えます。
例えば、
・システムの可能性を引き出し切れているか
・システムから冗長 が取り除かれているか
・複数の戦略や要素がバランスよく機能するか
などが当てはまります。
まだ改善の余地が多くあるゲームを業界では「デベロップが足りない。」と言う人もいます。
ボードゲームそのもののデベロップが進んでいると、今あるシステムをさらに進化させたり、まったく新しいシステムを生み出すこともあります。
■アート
今回のメインテーマなので他より深く考察します。
言ってしまうと身もふたもないのですが、プロダクトにしろデベロップにしろ直感に訴えかけるだけのバズワードに過ぎません。
しかし、そのおかげで意味や解釈に具体的な束縛を受けず、発信者と受信者で自由に解釈できるイマジネーションの源泉として機能します。
そして、共通認識できる部分も存在するのでコミュニケーションの仲介者ともなります。
アートはこの二つに対し、もっと抽象的で共通認識の部分がとても難解です。
しかし、私は確かな認識を持ってこの言葉を好んでいます。
ボードゲームで言うアートとは私にとって内なる自己表現を意味します。
単に「自己表現する努力」と言い換えます。
例えば、
・マインドのコピー
・メッセージの発信
・オリジナリティの執着
などが当てはまります。
しかし、伝わりそうにないので別の方法で説明します。
ボードゲームデザイナーはボードゲームを出版し自己を証明し生きた証を残したいと思いました。
古代人は壁画を描き自分たちが生きた証を世界に記録しました。
ボードゲームを作るのも絵を描くのも同じだと思っています。
例えば、「子供が無垢に描いた絵」も「プロがお金の為だけに描いた絵」も絵は絵です。
「下手だけど好きなものを描いた絵」も「上手だけど嫌々に描いた絵」も絵は絵です。
「製品」や「作品」の意味を持って生まれたものがプロダクトやデベロップの評価の洗礼を受けるのは当然ですが、そうでないものにそれを強要する必要はあるのでしょうか。
大人が子供の絵を指して下手くそだと馬鹿にするでしょうか。
私はないと思います。
もっと多くの人が気まぐれにボードゲームを作ってよいと思っていて、
そうすれば、より多くのゲームが生まれ、より多くの人の自己表現が達成され、幸せが増えると思っています。
■さいごに
しかし、勝つことに強いマインドを持つ人のアートが結果的にプロダクトやデベロップと変わらないものであってもよいと思っています。
何故なら、それが自己表現した結果なのだから。
第1回 名古屋サシゲークラブ 参加者募集
新年明けまして、おめでとうございます。
今年も毎年恒例の名古屋サシゲークラブ開催の時期がやってまいりました。
皆様ふるってご参加ください。
参加はツイッターでボクにメッセージくださいませ。
メッセージなくても当日突然現地参加とかでもまったく問題ないです。
【サシゲークラブとは?】
初心者歓迎の二人用ゲーム(主にボードゲーム)をやる会です。
ボードゲームメインになると思いますが、特にサシゲーであれば拘らないため、
TCGとかポケモン通信対戦とか何でもいいのではないでしょうか。
初心者の方や、一人初参加の方などもスタッフ(主にボク)が丁寧に教えてくれるため、
お気軽に起こしくださいませ。途中参加、途中退場かまいません。
【日程】
日付:2015年2月14日(土)
時間:10時~21時
場所:金山プリニークラブ
会費:500円(プリニークラブ会員登録100円+席代400円)
フリードリンク付
【ご注意】
たんに金山プリニークラブのスペースにて遊ぶ会ですので、
会費はプリニークラブのレジにて店員さんにお支払いください。
ボクが参加者様からお金を貰うなどのことは一切ありません。
金山プリニークラブは一般の共有スペースであるため、一般の方もみえます。
(主にTCGプレイヤー)
ですので、一般人として振舞いましょう。
プリニークラブは途中退室が基本的によくないらしいので、
昼食などは中で売ってるカップラーメンとかになってしまいます。
ですので、お昼食べてからの午後参加とかでも良いのではないでしょうか。
分からないことなど事前に問い合わせていただければお答えします。
【参加者】
・おーの(ボク)
・ユキさん
・ピンダー君
・ミクロンさん
・ケンさん(予定)
・テルさん
・白玉SANさん
・トバ君
・鹿さん
たまにするなら プリニークラブ金山店でカタン大会 結果まとめ
前記事のカタン大会募集が完了したため、結果をまとめます。
名古屋 10/5 たまにするなら プリニークラブ金山店でカタン大会 (募集終了) - たまにするなら こんなボードゲーム
■カタン大会 無事終了
参加者8名(2卓)によるスイスドロー3回戦
以下のスコアシートによる計算で順位決め。
(このスコア計算だと1回1位であがれば残りが最下位でも、2位だけをたくさんあがった人には絶対負けません。 まあ、でもカタンに2位の価値があるとは思えないし、1位を1回でも上がってるほうが偉いってことで。)
【最終順位】
優勝(1位) おーの@tkm_dx 勝ち3回
2位 テル@itakateru 勝ち1回
3位 白玉さん@haruka_sumeragi 勝ち1回
4位 キヅカ@life_0427 勝ち1回
以下勝ちなし
5位 ピンダー@pinder_tron
6位 ユキ@snow_island
7位 トバ@Puross
8位 川村人志@SKS_666
以下、全て1番卓(上位卓)です。
1回戦目の様子
初戦は、ランダムマッチで1番卓にマッチングしませんでしたので内訳は分かりませんが、左上のテルさん(赤)が都市*2+開拓地*2+得点カード*2+騎士賞で上がってるの図だと思います。みんなカードカタン好き好き。
2回戦目の様子
白色が私(おーの)で、都市*3+開拓地*3+得点カードで上がってます。初期配置が微妙で、騎士賞・道賞ともに持っていかれてかなり勝ち筋の薄い流れですが、ゲームを捨てないをモットーに地道に開拓と都市化。限界まで引き伸ばし9点に到達したところでカード引きを開始。運よく得点カードを引けて上がりで、写真右の赤の開拓地の下にあるのが幸運の得点カードです。確か、2枚目ぐらいでヒットしたはず。
3回戦目の様子
黄色が私(おーの)で、このラウンドも前ラウンドと同じく、配置が微妙で、騎士賞と道賞を持っていかれてつらい展開に。戦法も前と同じく地道に開拓と都市化を繰り返し、9点(都市*4+開拓地)に到達したところでカード引きを開始。騎士・騎士・得点の3枚目に得点を引けて勝利できました。左下にちょろって写ってるのがそれです。ちなみに、最終手番で次の人に回したら上がってるらしいので、ギリですが、ギリギリの戦いはカタンではよくあること。
■所感
いいだしっぺが勝ってしまってちょっと申し訳ない空気が流れたのですが、
私の卓はどのゲームも9点ラインが3人並ぶ接線で、ゲーム内容としては申し分ないものだったのではないでしょうか。
私自信は大分満足できたため、もし次やる機会があるのであれば参加者からはずれて運営に徹してもいいのかなと思いました。
ただ、勝ち逃げと言われるのなら、参戦はやぶさかではございません!
■プリニークラブ金山店
今回の場所はプリニークラブ金山店を利用させていただきました。
プリニークラブはデュエルスペースレンタルのお店で主にTCGプレイヤーに人気があります。
とは言え、無料貸し出しゲームにドミニオンとかカルカソンヌもあり、手ぶらのボードゲーマーにもかなりオススメです。
利用料金は会員登録100円、席代400円になりまして、初利用は計500円、以降は400円となかなかリーズナブルです。
特に予約の必要はないため、突発的な利用にもかなり適しているのではないでしょうか。
ただ、今回のような人数を集める大会だと貸切のスペースでないため、多すぎると厳しいかもしれません。
個人的には今回の8人(1テーブル分)が対応しきれる限度ではないでしょうか。
■たまには大会もいいよね
ここ最近は名古屋のボードゲームサークルは充実しているので、プレイ環境に困ることはないですが、たまには大会のような目標をもった遊び方も良いのではないでしょうか。
では、次の「たまに」まで。アデュー。
名古屋 10/5 たまにするなら プリニークラブ金山店でカタン大会 (募集終了)
[日程]
場所:プリニークラブ 金山
日時:10/5 10:00 ~
(10:00集合ですが、全員が揃って説明等すませた後なので、大会の開始は11:00前後ではないかと予想しています。)
参加費:400 ~ 500円(フリードリンク付き)
(プリニークラブの席代です。私には一切お金は入らないのでご心配なく。)
■大会参加
おーの@tkm_dx
白玉さん@haruka_sumeragi
川村人志@SKS_666
ピンダー@pinder_tron
キヅカ@life_0427
トバ@Puross
※定員に到達しましたので大会参加者の募集は締め切りました。
□大会不参加
ツイッターで冗談交じりにカタン話しをしていましたら、どうも人が集まりそうなので、急遽にカタン会を行うことになりました。
人数によって大会形式を取りたいと思い、祈りながら募集したことろ、めでたく、8人の参加者様に恵まれました。
これも参加者様のご好意のおかげでございます。
つきましては、当初の願い通りに2卓4人戦による3回戦マッチの大会を行います。
大会参加者の皆様、恐れ入りますが、大会形式だと人数調整が厳しいため、ドタキャン等ないようお願い申し上げます。
なお、トーナメントは15:00頃決着するかと思いますので、以降は適当にボードゲームを遊ぶ会になり、この時間から来ても何かしら遊べるのではないかと思います。